土曜日からは、芳賀稔さんの個展『不可逆』が始まります。
本日から作品が届き始めます。
今日は「黒銀」についての説明を。
「黒銀」は、陶芸における銀彩の技法を基点としながら、芳賀稔さんが現在取り組んでいる新たな表現です。
荒々しい土の質感、黒く焼き締められた下地、そしてその上に施される銀。
うつわの表面には、土・黒・銀という三層の構造が重なり合っています。
銀は全面に塗布されるのではなく、あえて削られ、絞られたような有機的な痕跡を残しています。
銀彩は素焼きと本焼きを終えたあと、さらに低温で銀を焼き付ける工程を必要とする、手間のかかる技法です。
加えて、銀そのものが世界的に希少性を増す中、陶器と融合させてしまえば、素材としての銀の価値には戻りにくい。
そして銀は空気に触れ、時間とともに変化を続けます。
かつて芳賀さんは、器全体に厚く銀を施す、別の銀彩の表現にも取り組んでいました。 弊店でも特に人気の高い作品でしたが、銀の価格高騰により制作が難しい時期が続きます。 そうした状況の中で生まれたのが、この黒銀です。
銀の量は抑えられていますが、表情としての情報量はむしろ増している。
制約を受け入れながら、表現として更新していく。
「黒銀」は、そうしたアンビバレントな態度を引き受けた末に立ち上がった、現在の芳賀稔を象徴する技法のひとつです。
【芳賀稔 個展『不可逆』】
2026/1/24(土)〜2/1(日)
営業時間 12:00~18:00
休業日 | 1/27(火), 1/28(水)
作家在廊予定日 | 1/24(土), 1/25(日)
<芳賀稔 / Minoru Haga >
1983年 広島県府中市生まれ
2008年 多治見市陶磁器意匠研究所修了 / 卒業制作課題賞
2013年 第25回土岐市織部の日記念事業第6回現代茶陶展 入選
2014年 広島県世羅郡世羅町に薪窯を作る
@minoruhaga | #芳賀稔